最終更新日時 2024-04-26 22:28:34

現国立競技場での最後の「明早戦」観戦記 (村中直樹) 

★ ありがとう、我が青春の国立競技場     村中直樹  (H1政経 東日本高速道路㈱)

 空は雲一つなく青く澄み渡り、黄金色の銀杏並木が映える神宮外苑。平成25年12月1日(日)。関東大学ラグビー対抗戦、伝統の「明早戦」が国立競技場で開催されました。2020年の東京オリンピックを見据えて来年から改修工事が行われるため、現在の国立競技場で開催される明早戦としては、最後のゲームとなりました。

 我々明治大学平成白熱党の面々も、開門前の午前10時に国立競技場代々木門に参集しました。既に多くの観戦者が長い列を作って、開門遅しとの思いで並び待っていました。我々の学生時代からの変わらぬ風景?か、あちらこちらでアルコールの臭いがプンプンしています。試合が始まる前にできあがってしまうのでしょうか(笑)。また、時間潰しに競技場の周辺を探索していると、多くの明大OBと出会い、言葉を交わす機会を得ました。「私は昭和○○年卒だよ!」、「私は岡山から来た。こいつは旭川からだよ!」、「今日は全国から集まってきている。最後の国立だからな!もう同窓会だね(笑)」云々。このように今回の明早戦には、多くの明大OBやその関係者が応援に来られており、人それぞれに様々な思いがある明早戦であることを深く感じました。

 正午に開門。我々も席を確保して一安心。腰を落ち着けつつ、「打倒!早稲田!!」の合言葉で母校明治大学の必勝を期してまずは乾杯です。これもまた冬の風物詩である明早戦の醍醐味か?身体を温めるためには必須です。でも、近年の異常気象が原因か、日本酒よりもビールかと思えるような、昔日と比べるとかなり気温も高くて暖かいラグビー観戦日和でありました。

 近年、大学ラグビーの人気もやや低調気味の状況です。伝統の明早戦についても、その観客動員数も低迷しているところであり、昨年等も国立競技場のスタンドの多くに空席が目立っていました。そのような状況下において、40年にわたり国立を舞台に数々の名勝負を繰り広げてきた明治と早稲田のラグビー。現国立での最後の試合ということもあって、「国立をホームにしよう」とのスローガンの下、明治大学と早稲田大学が一致団結し、今回の明早戦では往時のように国立を観戦者で満員にしよう!という活動が展開されてきました。果たしてどれだけの観客が集まるのか・・・。明早戦の日が近づくにつれ、指定席券は売れ切れ、学生席券も売れ切れ、でもC自由席券はまだあります・・・。との情報が耳に入ってきます。「あぁ~、昔のようにあの満員の国立で明早戦を観たいなぁ」との思いが日々強くなっていき、祈るような思いで今日この日を迎えました。スタンド席に座りキックオフを待ちます。時間が過ぎるとともに、徐々にスタンドが埋まっていきます。「おい、去年はあのあたりの席はガラガラだったよな。今日はもう埋まったぞ!」。平成白熱党の面々も互いに顔を見合わせて笑顔満面です。そして、キックオフ時には約5万人に及ぶ満員の国立競技場となりました。学生時代の興奮が思い起こされ、試合はまだ始まっていないにもかかわらず、もうこれだけで感動でした。ここに明治と早稲田ともに、大学・学生・OB等が一つになって、全てを結びつける動員力・組織力に喜びと誇りを感じました。

 14時にキックオフ。大歓声のもとで試合が始まりました。試合は双方ともに全く譲らずの互角の試合展開です。おぉ、これぞ明早戦です!そして前半28分。早稲田の一瞬の間隙をついて、10番茂木選手がドロップゴールをきめて3点を先取しました。スタンドで振られる多くの紫紺のフラッグが喜びを表しています。勿論、我々平成白熱党はスクラムを組んで校歌を歌います。いいぞ!明治!

その後、前半戦終了間際に早稲田にペナルティゴールで3点を入れられましたが、3-3という低得点での折り返しに母校明治の底力と後半戦への期待が高まりました。

 ハーフタイムの間には、明治・早稲田の応援団チアリーダーによる演技が行なわれました。華麗なる明治大学応援団ジェスターズの演技。明治の応援も益々盛り上がっていきました。

 後半戦です。今季は帝京戦での1敗のみの早稲田。さすがです。後半早々に1トライを取られました。我々の座るスタンドの目の前でのトライ。見たくないものを見せられて、平成白熱党の面々もくやしさ倍増です。頑張れ明治!明治もだまってはいません。その後は早稲田側のゴールラインぎりぎりでの接戦が続きます。明治の強力FWで押しまくります。我々の応援もさらに燃え上がります。「明治、前へ!!」。あと一歩というところまで突き進むも、早稲田の強力布陣にトライが奪えません。その後も試合は3-8のままで一進一退の状況でしたが、後半終了直前にも1トライ1ゴールを早稲田に与えてしまい、結果、3-15のスコアでノーサイドを迎えました。

 今季の明大は慶應義塾大学や筑波大学等にも負けを喫しています。その結果から察すると、この明早戦でも早稲田には相当苦戦を強いられる、かなりの点数を奪われるという悪い予想もありました。だが、そこはやはり何が起きるかわからないのが“明早戦”です。結果として試合には負けましたが、その試合内容からは、宿敵早稲田には何一つ引けをとらない素晴らしい試合であったと思います。現国立での最後を飾る素晴らしい明早戦であったと思います。

 試合終了後、明治大学応援団・早稲田大学応援部による両校校歌斉唱・エールの交換が行われました。声高らかに明治大学校歌を斉唱しました。スタンドを母校明治大学・早稲田大学の応援者で埋め尽くした満員の国立競技場。そこに響き轟きわたる両校校歌。「この国立で歌う校歌もこれが最後か・・・。」感動とともに熱く胸に込みあげるものがありました。

 そして、今回の明早戦を締め括るフィナーレ。「さよなら国立セレモニー」として、あのユーミンこと松任谷由実さんによる彼女の名曲「ノーサイド」が披露されました。冬の陽も落ちかけて西の空が茜色に染まる中、つい先ほどまでは大きな歓声と熱気に包まれた国立競技場も今や静寂に打って変わり、誰も彼もがユーミンの歌に聞き入っていました。もう唯々感動です。歌を聞きながら学生時代にこの国立で観た明早戦を思い出しました。明治・早稲田を応援する6万人を超える観客の熱い声援。身体が震え凍えながら応援した87年の雪中明早戦。期せずして色々な思い出が脳裏に浮かび、自然に目から涙が溢れ出るのを禁じえませんでした・・・。ありがとう明早戦。ありがとう国立競技場!!

 現在の国立競技場での最後の明早戦。昔日を思い起こさせる満員の国立。本当に素晴らしい最高の明早戦でした。「国立をホームにしよう」とご尽力された明治・早稲田双方の全ての関係者に心より敬意を表するとともに、今後の明治大学ラグビー部の躍進と必勝を祈念するところであります。

明治大学平成白熱党 村中直樹

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写真 掲載順
1. いざ、国立競技場へ集合なり(明治大学平成白熱党の面々)
2. 応援の準備は万端。国立を紫紺で染めるぞ!(明治大学平成白熱党の面々)
3. スタンドは満員の国立競技場。これぞ明早戦だ!
4. 応援団もスタンドを盛り上げます。(明治大学応援団幹部 根岸氏とともに)
5.「前へ!」。重戦車明治のFWです。
6. ぎっしり埋まったスタンド。中央には“M”の人文字も。(ちょっと見にくいか)
7. 明治大学応援団ジェスターズによる華麗なるハーフタイムの演技
8.「3-15」でノーサイド。残念なり・・・。
9. 国立競技場に響き渡る明治大学校歌(明治大学校歌斉唱)
10. 明治大学ラグビー部の選手を讃えます!
11. ユーミンありがとう。感涙でした。(名曲「ノーサイド」を歌唱する松任谷由実氏)
12. 神田駿河台下の天ぷら屋「はちまき」にて明早戦を語る明治大学平成白熱党の面々

 

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