最終更新日時 2024-04-26 22:28:34

会員訪問記―グローバル企業の税務アドバイザー (竹内茂樹氏) 

★国税庁職員から国際税務アドバイザーに転身  
                      竹内茂樹氏 (S59商 新日本アーンストスト
アンド ヤング税理士法人)

竹内茂樹氏

 新日本アーンストアンドヤング税理士法人(以後EY税理士法人と表記)の竹内茂樹氏を霞が関ビル32階に訪ねた。名刺には移転価格部シニアマネージャー 税理士・米国公認会計士とある。

 EY税理士法人は何をしている組織ですか
「EY(アーンスト アンド ヤング)は世界140カ国に17万人余のメンバーを有し、世界各地で事業展開される企業の皆様にアカウンティングを中心としたサービスを提供をしています。この業界では、BIG4と呼ばれたりもします。会計監査業務はもちろん、M&A支援、各種コンサルティング業務も行っています。そういった中で、EY税理士法人はそのメンバーファームとして、日本において日系企業や外資系企業の皆様に対し、一般の税務申告業務はもちろん、その国際的ネットワークを強みに、国際税務、移転価格、関税等、様々なニーズに対応する税務関連サービスを提供しています。ちなみに、会計監査業務は新日本監査法人がメンバーファームとなっています。」

 担当しておられる移転価格部とはどんな仕事ですか
「移転価格とは、ある企業が海外に子会社等の関連会社を有する場合、それらの企業との間で取引を行う際の価格のことを言います。
 この価格の設定次第では、課税所得の源泉となる利益が、あるべき利益に比べどちらか一方に移転してしまい、国際的な課税の不平等が生じてしまう可能性があります。各国の税務当局は自国での税が減少しては困るということで、その利益(所得)の移転(流出)が発生していないか絶えず目を光らせており、移転価格の税務調査も頻繁に実施されています。移転価格調査の場合、否認されると、何十億、何百億は普通で、時には1千億円以上の否認を受け新聞紙上を賑わすこともあります。このような状況の下、税務当局との間で問題が生じないような価格設定のアドバイスや、いざ税務調査が入ったときの対応といったサービス等を中心に行っています。」

竹内氏は大学を卒業後国税局に就職され27年間の公務員生活の後、2011年現在のEY税理士法人に転職されました。

 転職の動機は
「税務職員として27年間勤続しましたが、まだまだ別の世界があるのではないか、もっと広い世界を見てみたいと思っていた時、たまたまEY税理士法人の話を聞き、転職いたしました。国税庁や東京国税局時代に、大規模法人や外国法人の移転価格調査や国際課税等の主に国際畑を担当しており、そのキャリアを生かせる場所と考えました。税金を徴収する立場から攻守入れ替わった訳ですが、基本は税のコンプライアンスですから特に抵抗も違和感もありません。諸外国では、税務当局から会計事務所へ、また会計事務所から税務当局へといった回転ドアの光景は日常のごく自然なことです。両者のスムーズな対話を通じてのみ、バランスある適切なコンプライアンスが維持されるものと思っています。」

 少しプライベートの事を
「出身は三重県津市ですが、高校は四日市の三重海星高校です。米国公認会計士は各州から認可されますが、2004年にハワイでデラウェア州の試験を受け合格しました。その後、資格をワシントン州に移し同州からライセンスを得ています。
家族は家内と二人です。子供はいませんが、家には、“墨汁に浸かって出てきたの?というくらいに真っ黒けな”クロスケ(トイプードル・オス)がいて、いつもベッドを供にしています。将来の夢ですか? たぶん無理でしょうけど、半年くらいかけて船で世界一周するなんてできたらいいなと思っています。
全国紫明クラブの例会になかなか顔を出せていませんが、すごく充実した会だと思っています。時間を見つけて参加したいと思います。」

 税務関係専門誌の執筆活動もされており、まだまだ多忙な毎日と拝見した。“世界一周船旅”の夢が是非叶いますよう祈念しております。
 *  最新執筆記事としては、本年7月5日発売の「税務弘報8月号」(中央経済社刊)『移転価格調査への国税通則法改正の影響と対策』がある。ご興味のある方は是非ご一読を


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