最終更新日時 2024-04-26 22:28:34

「名将に学ぶリーダーシップについて」ー広沢克実氏の講演を聞く (伊藤尊示) 

★広澤克実さんに聞きました「名将に学ぶリーダーシップについて」 伊藤尊示 (S48年農 ユニバーサル企業㈱)                                       

広沢克実氏 S60年(1985年)卒伊藤尊示氏

最近、広澤克実さんという野球評論家の話を聞く機会があった。広澤さんは明治大学出身、1985年にヤクルトスワローズにドラフト1位で入団、打点王2回、ベストナイン4回、その後巨人~阪神へと移籍をし、2008年まで阪神の打撃コーチを務めている。広澤さんは、野村監督、長嶋監督、星野監督という素晴らしい記憶に残る名将に学んだ唯一の選手として今までも自慢にしているとの事である。広澤さんのモットーは「熱意と一生懸命」、19年間の野球のプロの生活を終えて、野球の評論活動と共に講演活動を行っている。野村監督、長嶋監督、星野監督の3人の特長を戦国武将の織田信長、徳川家康、豊臣秀吉の3人を例にとって説明をされている。ホトトギスを題材とした説明である。

 ①野村監督は、頭を使ってホトトギスを鳴かす、つまりホトトギスが鳴く環境を整える。ホトトギスの生態系を知り、ものごとの原理原則を知った上でホトトギスを鳴かせる、との事である。1990年ヤクルトの監督だった時、野村監督に、練習とは何か?、について聞かれた事があった。練習とは、弱点の克服、自分の長所・短所を知り、方法論を考えて行動する、つまり練習とはPDCAの理屈と同じであり、計画・目標があってやってみて、そして検証する、その繰り返しである。学ぶとは真似る事である。野村野球には野村理論を示したバイブルがある、と教えられた。

②長嶋監督は、ホトトギスが鳴かないなら、鳴いているホトトギスを連れてくれば良い、との考え方である。野球を教える事は得意ではなかったらしい。広澤さんは、長嶋監督には特に野球を教わった記憶はないらしい。長嶋監督には、プロとしてのモチベーションを教えてもらった。長嶋監督はまず最初、スタンドを見る。お客さんの入りを見ながら、「我々の給料はファンからもらっている。巨人ファンは3000万人、この人達に夢と希望を与える為に野球をやる。」長嶋監督は、常にファンの為に行動し、ファンの為に野球をやっていた。今でも長嶋が出てくれば人が寄って来る。まわりの人達を笑顔にする事がプロ、長嶋監督を見てそんな事を感じた。

 ③星野監督は、気合で鳴かすホトトギス、という言葉がぴったりである。あきらめない、強い気持ち、プロとしての生き方、最後に勝負を決めるのは気合だ、と言葉で明確に言う。星野監督は言葉を巧みに操る。リーダーとは、表現力が豊かでないと人には気持ちが伝わらない。星野監督は選手からの信頼が厚い。試合が劣勢であっても監督が凛としていれば選手は安心して戦うものである、と言っている。

 この3人の名将に仕えた選手は広澤さん位ではないかと思う。広澤さんが言う、「この3人の共通点は、頭が良い。発想する力・知恵がある。吸収するだけの力では物事は解決できない、知識は生きるための道具あるが、知識に基づく発想する力が本当に大事である」と、リーダー論を広澤さんは力説する。さて、私たちは何ホトトギスなのか、じっくり考えてみたいものである。 

                                              平成24年11月25日    記録:伊藤尊示

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