最終更新日時 2024-10-07 02:13:53

5月総会・例会が開催されました(5月26日) 例会の部(蟹瀬誠一氏講演を掲載)

平成23年5月26日(木) 紫紺館で5月総会・例会が開催されました。18:30から開催された例会は講師に国際ジャーナリスト・明治大学国際日本学部長蟹瀬誠一をお迎えしての講演と引き続き懇親会を開催しました。このページでは例会の部:講演会と懇親会の模様を報告します。なお総会の模様は別ページに掲載していますので併せて確認ください。

講演会の部
「大震災後の世界経済と日本の行くえ~問われる日本の真価」
講師  蟹瀬誠一氏 国際ジャーナリスト 明治大学国際日本学部教授、学部長

講師 蟹瀬誠一氏

[講演抜粋]
 今回の震災処理、原発問題では初動対応を誤った。圧力容器に穴があいているのは最初から分かっていた。今回の原発問題では最初の1週間が最も危なかった。放射能は長い間に影響が及ぶものであり、放射能の状況は今でも良くない。事実だと思っている大半は思い込みであったり、目前の出来事を過大評価し中長期的問題を過小評価する、と言う傾向が問題であった。
 
 リーマンショックは100年に一度の大きな危機と言う事であったが、実は真っ赤な嘘である。1970年のオイルショック、そして第二次世界大戦、1930年の世界恐慌、この100年間でこれだけの経済危機があった。世界恐慌の時は株の大暴落、失業率30%、貿易は1/4に減少し、米国の金融機関は9000ケ所が潰れたと言われている。米国のグリーンスパン氏が100年あるいは50年の危機と言った事が、100年に一度と言う言い方でマスコミが広めたのである。マスコミの影響は大きい。不安の源は無知が原因と言われる。
 
 日本の原発事故に対し米軍は、日本が核攻撃を受けたのと同じであるとの考え方を持っている。今回の問題は世界規模の事故であり、日本だけの問題ではなく世界の問題との捉え方である。菅総理は最初、米国の原子力問題の支援を断ったと言われているが、実はこの最中に米国艦隊は日本海にも展開をしていた。これは北朝鮮から不法に侵入してくる者の可能性を示唆したからに他ならない。首相と言うものは国を愛し命がけで国民を守れる人、国民に夢を与え、夢を実現する事の出来る人でなければならない。
 
 世界の人口は2020年に70億人、2050年に100億人に達すると言われており、世界の経済は確実に拡大していく。日本での仕事は少なくなるかもしれないが、海外を含めれば仕事はたくさんある。日本の国力は今後衰退していく。プラチナ長寿世代は過半数を超え、日本の戦後最大の政策課題になる。今は100歳以上の人達が4万人以上いる。政治が目指した戦後の長寿社会の実現は達成されたが、新たに少子高齢化の問題が生じている。昔は予知されない問題であったが、これは政治が解決する以外無い。
 
 震災後の企業の復活は思ったより早いであろう。1855年11月に起きた安政の大地震、震源は八丈島付近であり、マグニチュード6.9、地震そのものはたいした事はなかったが、火災によって1万人近い人達が亡くなった。1992年、大正12年9月1日に発生した関東大震災は相模湾を震源とし、100億円の国家予算に対して60億円の復興予算が必要であった。震災の4ケ月後には道路の復旧等、チャンスに変えての復興を成し遂げている。又、1995年の阪神淡路大震災では6400人以上の人達が死亡した。10兆円以上の損害の発生であったが、1年後には神戸港は回復し、15ケ月後には全体で約98%まで回復している。この回復力に見られるような事例は海外ではなかった。
 
 日本は統制が取れている国である。資金の調達についても日本の場合は容易である。従って回復力も早い。今後の最大の問題は原子力問題。日本は災害が起こる度に復活を成し遂げている。今後この事が日本全体の改革となるのか、東北地方だけで終わるのか、今後の政治力、指導力が問われる。原発問題は収束に向けて今後20年位はかかるであろう。今後も放射性物質が一定量は出続ける。どのように抑えるか、非常に難しい。もう二度と住めないエリアができるかもしれない。
 
 日本のGDP500兆円、個人消費300兆円、毎年確実に300兆円がまわっている。円は当面安くならない。28週連続で外人投資家が円を買っている。日本の方がヨーロッパより安心との判断がされている。東京電力は計画停電を行ったが、実は電力の余力はまだあると言われている。原子力発電が無くなったら大変と言う事を宣伝している面はあるが、今回の問題を契機として省エネ技術の更なる進化、自動車の排ガス装置、新しい脱硫技術等、新しい産業が生まれる可能性は大きい。 

懇親会の部
ゲストとして明治大学マスコミクラブ会長 本村隆氏 紫紺クラブ会長 小国博明氏、講演家・作家 佐藤由紀氏(H2 文学部卒)
他現役の学生の皆さまをお迎えし賑やかに開催されました。



        

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